2018年3月8日木曜日

式辞

式辞

この上総の国一宮の地にも春の訪れを感じ、
そこここに生命の息吹が感じられるようになりました。
本日、ここに 平成29年度 千葉県立一宮商業高等学校 第70回卒業証書授与式を
一宮町長 馬淵 昌也 様をはじめ、本校関係各位の多数のご来賓並びに
保護者の皆様のご臨席をたまわり、挙行できますことを心から感謝申し上げます。

ただ今、卒業証書を授与いたしました157名の卒業生の皆さん、
ご卒業おめでとうございます。
本校は、大正14年に創立され、この92年間で
卒業生の数は皆さんを含めて16,148名となりました。
自治・責任・創造の校訓の下、同じ志を持って切磋琢磨した卒業生とともに、
これから各方面で活躍してくれることを期待します。

さんは、この3年間、数々の悩みを解決するとともに、
資質・能力の伸張に励み、晴れて本校卒業の栄誉を手にしました。
今、将来への夢や希望で胸を膨らませ、この新しい人生の門出に際して、
決意も新たに身を引き締めていることでしょう。

しかし、これまで共に支え合い、学びあった友、
さらに皆さんを守り育ててくれた保護者の皆様をはじめ、
教え導いていただいた先生方、
さらにはお世話になった多くの方々の支えがあったことを忘れないでください。
高校という場所は、新しい知識を学ぶ場であると同時に、
逞しく生きる力を養う場でもあります。
その場所に、一宮商業高校を選んでくれてありがとうございます。

めて経験した高校受験という試練を勝ち抜いて入学した皆さんは、
本校にどのような期待を持ち、夢を抱いて過ごしてきたのでしょうか。
何を学ぶため入学したのでしょうか。
そして、何を学んだのでしょうか。
得たものは何でしょう。
入学時の夢や目標は叶えられたでしょうか。
学んでいる中で、夢や目標も変わっていったことと思いますが、
本校の学びは、皆さんがこれから歩んでいこうする道に役に立ったでしょうか。
夢や志とどうつながっているでしょうか。
ぜひ、そのことを自分なりに評価し、今後に役立ててください。

本は、7年前の3.11、東日本大震災から
モノの考え方や価値観が大きく変わりました。
安全・安心に関する意識とともに「想定外の事柄は起こる」という事実。
また、人とのつながりや自然を見直すなどの、絆志向も高まりました。
さらに、環境汚染や地球温暖化により、資源の劣化枯渇が急速に進んでいます。
これにより、私たちの活動にも多くの規制がかけられるとともに、
民族や宗教による対立も一層激しさを増し、多くの難民問題など、
世界各国の協力体制と意識にひずみが生じています。
世界では、イギリスのEU離脱、アメリカの一国主義への移行、核の脅威、
AIの発達、車等の自動化、仮想通貨の動き、
日本国内でも、少子高齢化や働き方改革等、急激に変わりつつあります。
このような世界で、生きていくという、
生きていかなければならないという「覚悟」をもち、
思いやりと感謝の気持ちで、豊かな人生を歩んでほしいと思います。

それでは、希望に溢れ、一歩を踏み出すに当たり、餞の言葉を 3つ 贈りたいと思います。

1つ 目的意識をもってください
の中に無駄なものはありません。
そのときは、意味のないもの、価値のないものに思われるかもしれませんが、
そこには必ず何らかの意味が含まれています。
「深く探求すればするほど、知らなくてはならないことが見つかる。
 人間の命が続く限り、常にそうだろうと私は思う。」と 
アインシュタインは言っています。
彼は、まぎれもない天才ですが、本人は
「私には、特殊な能力はありません。ただ、熱狂的な好奇心があるだけです。
 大切なのは、疑問を持つことです。」とも言っています。
疑問を持って、それを探求する事。
きっと、彼には「今の仕事が、何のためにあるのか、それには何が必要か」
が分かっていたのでしょう。
卒業後、進学するにせよ、就職するにせよ
「何のためにそれをするのか」という目的意識をしっかりと持った上で、
事に当たって欲しいと思います。
「考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、
 人格は運命となります(英国の元首相 マーガレット・サッチャーの言葉より)。」
目的意識を持ち、考え続け、探求することは、自分の人生を変えてくれることでしょう。

2つ チャレンジしてください
たちは生きていること、それ自体がチャレンジです。
日々刻々と変わる事象に対応すべく、私たちも常に変化し続けています。
人生、一寸先は闇といわれています。
だからこそ、覚悟を決めた、勇気ある決断が必要であり、チャレンジが求めれています。
「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」と言われるように、
今の世の中、何もしないということは衰退を意味します。
若さは最大の武器です。
若者らしく、何事にも勇気をもってチャレンジする人になってください。

3つ 縁を活かしてください
との出会いに、無駄なもの、無意味なものはありません。 
そこには何らかの縁が働いています。
こんな言葉があります(徳川将軍家の兵法指南役、柳生宗矩の言葉)。
小才は、縁に逢って縁に気づかず。
中才は、縁に逢って縁を活かさず。
大才は、袖触れ合う他生の縁もこれを活かす。
才能のない者は、チャンスや縁に気づかない。
中くらいの才能の者は、チャンスや縁に気づいているがどうしてよいかわからない。
とても才能のある者は、些細なチャンスや縁でもそれを見逃さず、最大限に活かしていける、という意味です。
大物になる人物は、チャンスや縁に敏感であるということです。
本校で、縁あって同じ学舎で過ごした友です。
また、縁あって教え導いていただいた先生です。
せっかくの出会いですので、これからもこの縁を大切にして、豊かな付き合いができることを期待します。
人との縁、出会いの重要さに気付けるかどうか。
そして、その縁を活かせるかどうかで、あなたの人生も決まってきます。
ぜひ、「袖振り合うも他生の縁」の意味と重要性をかみしめ、
いかなる出会いも大切にしてください。

何年たっても、皆さんの心の中に、本校での学びや経験が生き続け、
その時々の人生が豊かになってくれることを願っています。

後になりましたが、ご臨席の保護者の皆様方に心からお礼申し上げます。
これまで本校の教育活動に多大のご理解・ご支援を賜りましたこと、
また、人生選択の基礎となる時期に、私ども一宮商業高校にお子様を託していただき、
誠にありがとうございました。
私ども教職員は、今日の旅立ちをお祝いするとともに、
今後の卒業生の人生が幸多からんことを心からお祈り申し上げます。

日から、一宮商業高校は皆さんの母校であり、心の故郷です。
折りにふれて、この学舎や教職員に思いを馳せ、母校の一層の発展を見守ってください。
卒業生の皆さんに限りない惜別の情を残しつつ、その洋々たる前途を祝して式辞といたします。

平成30年3月8日
千葉県立一宮商業高等学校長